実行委員のコメント---くまがいマキ
10/29 午前 comment on

なぜ、イラクで死者が増え続けるのか?
(香田さんが人質となった背景を考える)
                     くまがいマキ
ファルージャで米軍に撃たれた救急車の写真を見た。
運転手を狙ったと見えて、フロントガラスに幾つも穴があいていた。
正面から狙ったのだ。狂ってると思った。

10月20日のニュースでは、米兵の死者が1,100人を超えたという。ブッシュ大統領が戦争終結宣言した昨年5月以降の死者が、全体の9割を占める。
(負傷者は、一万人以上らしいのだが、アメリカ政府の公式発表は、八千人。アメリカ本国に帰還せず、ドイツの陸軍病院などに足止めされている負傷者数を カウントしていないらしい。自殺者も多い。また、事故とされている死者が事故死なのか戦死なのかを確認するのは難しい。米政府は、世論の反対や補償の問 題を懸念して、できるだけ戦死者数としてカウントしたくないのだと思われる)

ファルージャや各地での米軍の攻撃が激化した4月以降、日本人の人質事件がそれらの攻撃と関係があることが判り、また、その後、アブグレイブ刑務所での 虐待、拷問、レイプなどが明るみに出たこともあって、アメリカ側の戦争終結宣言でイラクの問題は終わったと思っていた人々にも戦争は終わっていない、イ ラクの状況はかなりひどいのではないか?という疑問をもたらした。

6月末の主権委譲で、ブレマーの傀儡政権から、イラク人自身の政権へと交代されることが期待されたが、国連側の人選はことごとく邪魔され、CIAとのパイプがあるとされるアラウィ氏が暫定政権の首相になった。
その後、更にイラク全土で、戦闘が激化した。アメリカは平和への大きなチャンスを自ら捨てたのだ。石油の権益を失いたくない、アフガニスタンやその他の 国々のように親米のコントロール出来る政権を作りたい、アメリカの軍事力と協力国の援助があれば、イラク人を黙らせることはできるだろう、そう考えたの だと思う。

米兵の死者は、9月から10月にかけて急ペースで増えている。
イラク人の死者は、1万6千人を超えたという。(負傷者の数は判らない)
米軍は来年1月のイラク国民議会選挙に向けて、武装勢力拠点の掃討作戦を展開している。米軍の方針が変わらなければ、更に犠牲者は増え続けるだろう。

自衛隊の宿営地への迫撃砲の攻撃も続いている。一度や二度ではない。日本軍の駐留、米軍への協力、また、日本の復興支援のやり方に怒りをもつイラク人が沢山いるのだろう。

自衛隊はタイミングを逃さず日本に戻るべきだ。行くべきではなかったのだし、この先、良いことが待っているとは、とても思えない。香田さんの命が助かることを願っているが、4月の時のようにはいかないと、地元の宗教者も言っている。先が見えない。更なる泥沼、戦争下の蛮行非道も考えられる。

米軍の方針が、11月2日のアメリカ大統領選以降、どう変わるか気になるが、アメリカがどうであれ、日本は非戦国家としての筋を通すべきだ。
軍事力で何かを解決しようとする米軍に、いかなる形でも協力すべきではない。
軍事力のごり押しがまねいた更なる泥沼に、これ以上つき合うのは百害あって一利なしだ。小泉政権の判断ミスに、日本中が従う必要はない。