実行委員のコメント---くまがいマキ
12/05 午後 
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ファルージャでの殺戮は誰の責任か?
イラクに注目していた人々は、アメリカ大統領選後の米軍のファルージャ掃討作戦について、後で振り返った時、「ファルージャの虐殺」と呼ばれるのではないか、という予想をしていました。本当に、残念ながら、惨い、虐殺としか言いようがない状況のようです。

ファルージャで、米軍は、ナパーム弾と見られる化学兵器を使用し、水や食糧をとめ、病院を破壊し、5000人の民間人(ほとんどが、女性、子供、老人)を殺害し、3000人の民間人を拘束し、拷問、レイプするといった、あらゆる人道に反する行為をしているようです。
「ベトナム戦争のような泥沼」という言葉の重みが現実のこととなって、私達にのしかかってきています。悪夢は現実です。
私達は、何ができるのでしょうか?

ナパーム弾使用についての情報は下記
http://humphrey.blogtribe.org/entry-77d9361fbf5e59bcb7d500be70eeaace.html
支援物資を米軍が阻止した情報は下記
http://teanotwar.blogtribe.org/entry-c79d76f45249a87bb2a1a4c892f9ad72.html
ファルージャから発せられた声明(現地の写真も含む)は下記
http://give-peace-a-chance.jp/118/041201.html

こうした非道は、正常なチェックが機能していれば、それほど簡単には起こりません。逸脱が起こるのには、幾つかの原因があったと思います。

まず大きかったのは、アメリカ国民がブッシュのイラク政策を直接・間接的に、大統領選で支持してしまったこと。イラク開戦前には強硬に反対していたフランス、ドイツなども、石油の権益を睨み、あるいは、アメリカの自滅を期待して静観していること。国連も、アメリカやイギリスから自立した機関としては機能せず、アナン事務総長のファルージャ攻撃を止める勧告も公的な強制力がなかったこと。日本を始め、アメリカの同盟国が、軍隊駐留に協力していること。軍需産業を始めとし、各種復興のための企業も特需を期待し、米軍やその作戦への支持や協力をしていること。また、アブグレイブ刑務所での拷問の責任が、末端の責任とされ、上層部の責任が追求されなかったことなどがあげられると思います。

非道行為に対する外部からの圧力・歯止めが機能せず、アメリカの傀儡と思える現イラク政権によって、内部告発も軍事的な力によって出来ない状況となり、ファルージャ市民は口を塞がれたまま、殺されています。

米軍の無策は明らかです。
市民が自主的に選択できる民主的な選挙ではなく、親米政権を作るための
選挙の体裁をアメリカは整えたいのだろうと思いますが、
これだけの非道を連ねて、投票者が、親米政権を選ぶとは思えません。

「民主的な選挙」これは、アメリカが掲げる大義の最後のものです。
大量破壊兵器を持っていたのは、イラクではなく、アメリカでした。
化学兵器を使用したのは、武装勢力ではなく、アメリカでした。戒厳令を敷き、情報統制を行い、不当捜査、投獄を重ねるのは、フセインのみならず、米軍駐留後、ずっとアメリカのバックアップする機関、政権によって、更にひどい形で行われています。

イラク人を排除するのではなく、取り込もうとする政策が、アメリカによってとられた時期も短い期間でしたがありました。いまいちど、そうした路線にアメリカの軌道を修正するためには、アメリカのイラク政策を支持または協力しているところが支持を撤回し、協力をやめ、静観していたところが、反対の声をあげる必要があるでしょう。

アメリカの非道行為は、根本的な部分の無策ゆえのことなのではないかと、私は想像します。外圧や内部からの歯止めがなければ、無策を隠蔽するために、非道行為がエスカレートする可能性があります。泥沼化とはそういうことです。

原油の値上がりは、石油メジャー以外、誰も得をしません。(イギリスやアメリカの石油メジャーの利益増の情報は下記を参照
http://www.asyura2.com/0411/war62/msg/223.html

イギリスでは、ナパーム弾使用に関して、議会でブレア首相の責任を追求する声が高まっています。

アメリカの人権団体とイラク人が、アブグレイブ刑務所での拷問に関して、ラムズフェルドなど上層部の責任を追求するため、ドイツの連邦検察庁に告発手続きをしています。(アメリカは国際刑事裁判所に未加盟のため、国外の刑事責任を問うことの出来るドイツでの裁判を求めています)

日本では、小泉首相が、ファルージャ攻撃に対して、賛意を示しました。まず、ナパーム弾使用を始めとするあらゆる非道行為について小泉首相の考えが知りたいと思います。

来年3月に期限切れで撤退するオランダ軍の代わりに、サマワで、自衛隊を守り、行動を共にする予定のイギリスの精鋭部隊は、このファルージャの虐殺に参加しているそうです。また、ニューズウィーク日本版に「イラクで、陸自が市街戦に備えて、秘密裏に装備を強化するよう指示されている」という記事が出ました。自衛隊が、武器の運搬や補給など米軍の後方支援をしていた事実がありますが、ファルージャの虐殺の際にも、後方支援をしていた可能性も考えられます。

12/10に自衛隊延長が、閣議決定されるそうですが、その出席者全員にもこのファルージャでの非道行為と、自衛隊の米軍支援について、そして、更に危険度が高まる自衛隊駐留についての考えを聞きたいと思います。

有権者は、誰が、どういう基準で何をどう判断したのかを少なくとも覚えているべきでしょう。日本人がアメリカに対して、イラクに対してできることは、もっとたくさんあるだろうと思います。