NO  WAR!

ども。赤坂ACTシアターに「ノイズ&ファンク」を見てきました。天才と呼ばれる黒人のタップダンサー、セヴィアン・グローバーを中心としたタップダンサーと、二人のやはり黒人シンガーの出演で一幕はアメリカに移住してきた黒人のつらい歴史を、 二幕はタップの歴史をつづったものです。

その素晴らしいタップは必見なものがあります。それだけで、会場は熱く熱く盛り上がります。ただ、シンガーが歌う歌詞は、僕は字幕を読むしかできないのですが、殺戮だのリンチだのレイプだのそういった哀しい言葉が並びます。決して歌声も暗くないのだけど。あまりにタップとの対比が凄すぎる。

それは、セヴィアン・グローバーたちが「僕らはさまざまな悲しみもタップがあったこそ乗り越えてきたんだ」といわんばかり。彼らが抱いたつらさ、哀しさの負のパワーを置き換えたものの象徴がタップとして描かれているようでした。

残念ながら客席は8割り程度の入りでしたが、観劇したお客さんは大盛り上がり。カーテンコールも大盛り上がり。

そんな時です。セヴィアンが観客席に「NO  WAR」と書かれた小さなプラカードを見つけたんですね。表情が変わり、客席に駆け下りて、そのプラカードを持ってもう一度舞台に戻るんです。両手をVサインにして掲げ、ピースコールを始めると、会場が全体が同じようにピースコールが起こったんです。ロックコンサートなんかだとよくある光景なのかしら。熱く、ノリがいい、素晴らしい舞台だったから起こった一体感とはちょっと違う気がしました。そういうつらい歴史を背負ったセヴィアンたちだからこそ、そういう舞台を観た後だからこその説得力というものが確実にありました。これは僕の実感です。折しもブッシュの阿呆が48時間後の攻撃を発言した日です。小泉首相がアメリカ支持を打ち出した日です。あなたは、あののほほんとした息子・孝太郎を前戦に、先頭を切って出せるんかいなと思ってあきれてしまいます。まあ、孝太郎君に罪はありません。どっちかというと、役者だし、演劇界よりといえるだろうし。

あ、脱線しました。小さなことで言えばシアターガイドをやっていて、演劇を世間で認知されるようにしていきたいということを考えています。こういう世の中だからこそ、演劇としてできることはないのかとか思います。

雑誌自体は月刊誌だから実際の情勢の流れははっきりいって追えません。でも情報誌だし、その中で出来ることはやりたいと思います。先日、紀伊國屋で開かれた「イラク攻撃に反対する演劇人」のイベントにもいってきました。平日にもかかわらず800人も集まったそうです。そういうことを伝えていく、支援していく。声にしていく。

ほかに何が出来るかわからないけど。いろいろ考えさせられる今日このごろです。

演劇には大きな力があると信じているから。だから「ノイズ&ファンク」のようなハプニングに立ち会えでよかった。それに深夜町中で踊っている、およそ舞台なんか観なさそうな若い子がいっぱいいた。そういうところからパワーは生まれてくると思うといいな。不愉快な人にはごめんなさい。だらだらと書いてしまいました。